創業1946年、身体を支えるポール作り一筋専門メーカー・シナノの杖

 きっかけは、離れて暮らす父が、駅の階段で転んで病院に運ばれたという話を聞いたことでした。出かけるのが好きで活動的だった父も70歳を過ぎ、気持ちとは裏腹に、体がついてこない経験が増えてきたのを感じました。その後もたまに電話をかけて話をすると、買物帰りにつまづいたとか、腰や膝が痛くて歩くのが辛い、といった言葉が出てくるようになりました。しかし、医者でもなければ一緒に住んでいるわけでもない自分には、「気をつけて」と言うくらいしかできません。 そんな時、雑誌を見ていて、カラフルな杖の写真が目に入りました。  「杖も随分おしゃれになったなあ」 そう思った瞬間にひらめいたのです。 転ばぬ先の杖、という言葉もあるし、杖を使えばもう少し自由に歩けるんじゃないかと。杖を使うことで、もっと自由に、楽しく、安全に、行動できるようになるなら、喜んでもらえるんじゃないか。 そう言えば、敬老の日や誕生日、プレゼントの機会はよくあるものの、いつも植物か食べ物、というのもどうかと思っていたので、これはひょっとして良いプレゼントになるかもしれない、という思いもありました。 ところが、どうやって選べばいいか分からない。   そこで杖を扱うお店で聞きました。   「杖は、体に合っていることが大切」  「プレゼントなら、長さ調節できるタイプがオススメ」 そしてこんなアドバイスももらいました。    「それを持って、お出かけしたくなるようなものがいいですよね」 そうです。杖を贈りたいと思ったのは、安全に歩いてもらいたい、ということと、出かけるのが億劫にならないように、楽しく出かけてもらいたい、という気持ちを届けたかったのです。   しかし、不安はあります。杖を贈ったとして、本当に使ってもらえるかどうか。 杖を使っている人たちはこう言います。   「はじめは杖を使うのに抵抗があったけど、一度使うとね、とにかく楽なのよ」 「かわいい自分の子や孫が、『いい杖を見つけたから、ちょっと使ってみてよ』と言えば、使ってもらえると思いますよ」 喜んでもらえたら、嬉しいなあ。